2008闘牛回顧
屋内開催が主流となった闘牛。
迫力場面では、ドーム特有轟音のような大歓声の連続!
=秋の全島闘牛大会の10番戦より=
大会数減もドーム激増
若虎時代到来か
今年行われた闘牛は合計二十四大会。一月、三月、八月はそれぞれ四回開催され、闘牛大会総数の半分を占めた。これらの月は毎週のように闘牛が行われ、特定の時期に闘牛が集中する傾向が顕著となった。一方で一大会のみの開催月(二、四、七、九月)や、開催のない月(十二月)も初めて出るなど十年来続く大会数の減少傾向がまだ続いている。娯楽の多様化や長引く不況による飼育者の漸減が背景にあり、毎年のように大会数が五十回を超えていた一九九〇年代の五割以下の水準だ。各地域で行われていたローカル大会の激減が最大の要因だが、ここにきてようやく底打ち感も。三が日闘牛や旧正月、旧盆など三十年以上続く定例大会や恒例の「祭り闘牛」などの合計が十五大会ほどあり、これらの大会の前後で継続的な開催が見込める各単位組合の大会を加えると二十五大会ほどになる。開催数は来年から安定化しそうな雲行きだ。
今年のもうひとつの特徴は「ドーム開催」の激増。二十四大会中、十七大会がドームで行われ、開催数の七割を占めた。昨年五月にこけら落としをしたうるま市石川の「ドーム」は全天候型で天気に左右されない観戦の快適性が売り物。風がドーム内に入り込む構造のため夏場の快適性は予想以上だ。観光客やこれまで野外闘牛にやや抵抗があった地元客を呼び込む素地ができたといえる。一方で野外闘牛は今帰仁、本部などを中心に開催地が絞られる傾向に。早くも闘牛ファンの間では野外闘牛の魅力が再認識され、現状の大会数は残ってほしいとの声も増えている。
今年最も注目を集めたのは酋長若虎(十勝一敗、一一五〇キロ)。昨秋の全島大会で大龍王から王座を奪取し、久々に現れた超大型牛チャンピオン(全島一)がどこまで防衛回数を伸ばすかが焦点だった。若虎は期待にこたえ、古堅モータース号、玉富士のぶちゃん号、大勝神龍を立て続けに連破。三度の防衛に成功し、安定感たっぷりの戦いは評価が高まる一方だ。来年は一九九一年のゆかり号(二代目)以来十八年ぶりとなる連続四回の防衛を達成できるかが焦点となる。軽量級は王座交代劇があり、八月に隠岐爆弾(八二〇キロ)が花夢を破り、新王座に付いた。十一月全島で初防衛に成功。五連勝の無敗牛だけに来年の活躍が大いに期待される。今年活躍し、印象に残った牛では、足の故障で王座挑戦を先送りした大物、玉富士龍王(五勝)、舌を巻く底力を見せた源太尊(四勝)はどこまで全勝を伸ばせるかが関心の的。十一月の全島で有終の美を飾った古堅モータース号、靖士山、仲村竿津脇、新力號、GOGO雄紀号などの強豪は今後一段と闘牛ファンの熱い視線を集めそうだ。