2012闘牛回顧

荒風号を破り、沖縄全島一になった東山優武勝
2012年闘牛
新チャンピオンに優武勝!
中量級はハヤテ、軽量級はメカ
今年は22回の闘牛大会があった。昨年19回、2010年22回だったので、数年前から始まった大会数の漸減傾向にようやく終止符が打たれた感。225の対戦が繰り広げられ、観客は約30,000人だった。
今年の話題トップは王座交代劇。最強牛を決める「沖縄全島一」の防衛回数を5月全島時点で4まで伸ばした荒風号。評価が一段と上がり、荒風号時代到来かと思われたが、11月全島で5度目の防衛に失敗した。新チャンピオンになったのは東山優武勝で9戦全勝での王座奪取となった。中量級では、こちらも安定感抜群で防衛回数を伸ばすと予想されていた古堅モーターズ号が体調を理由に王座返上(7月)。8月全島の王座決定戦で常勝会荒波を下して栄光を掴んだのは闘将ハヤテ。わずか5戦目でのスピード戴冠となった。軽量級はこのクラス敵なしの感だった成龍號が5月全島で4度目の王座防衛に成功。県内に強力なライバルが見当たらない中、沖縄同様の闘牛王国徳之島へのトレードとなった。8月夏の全島で空白の王座を埋めたのは前チャンピオンの闘将☆メカ。龍天龍鬼丸との大激戦を制し、見事な王座復帰を果たした。
以下は今年開催された各大会のハイライト。
1月
例年どおり幕開け大会となった新春北部は、結びの一番に北部の雄トラムクーパンダが登場。前年11月デビューからの連勝が6で止まり、心配されていたが、上里号との15分余に及ぶ熱戦を制した。その後2連勝し、一皮むけた状態でさらに上位を目指す勢いとなっている。同大会では浜川闘進王がデビュー戦を快勝。期待どおりの鋭い動きでその後も勝ち進み、一躍2013年のホープ牛に。正月二日恒例の新春大闘牛では、東山優武勝が巨漢シュン大将を一蹴し、全島一挑戦牛の有力候補に。三日新春南部のハイライトシーンは結びの一番。荒技師の花夢丸力がわずか1分59秒の電撃速攻で常勝会天電を下し、「一発」健在を強烈にアピールした。29日の旧正闘牛は全島一タイトルマッチが含まれたため準全島大会として格上開催。荒風号が常勝会力丸を破って三度の防衛を果たし、軽量級の成龍號も8戦全勝で王座を守った(三回目)。
3月
3月11日チャリティー闘牛では、また花夢丸力が会場をわかせた。無敗牛の風神荒獅に攻め込まれながらも、持ち前の集中力で一瞬相手のスキを突き、逆転勝利を決めた。18日伊波は久々の開催。隆神と古堅モータース尾折の4番戦が会場を沸かせ、隆神が激戦を制した。25日本部では琉昇天力トラトラと豪剣パンダが手に汗握る激戦を展開した。迫力場面の連続となったが、20分超の長期戦の末に豪剣パンダが完勝。右角を負傷したトラトラの鬼気迫る戦いに会場が一瞬静まり返る場面もあり、場内は大揺れだった。
5月
5月第1日曜日はG・W祭☆与勝闘牛大会で定番化し、観光客も漸増の気配。結びの一番で北部から与勝に移籍した雷神天王(上里号)が久々の勝利で通算5勝目をあげた。春の全島は13日に開催され、4000人の大観衆が3時間余にわたって闘牛の醍醐味を堪能。タイトルマッチの結果は3階級とも王座防衛に終わり、チャピオンの強さが際立つ結果となった。27日には沖縄本土復帰40周年記念大闘牛。全島一挑戦最有力候補の東山優武勝がミスターXに楽勝し、調整万全を印象づけた。
6月
6月3日具志川では、旧正大会で荒風号に善戦した常勝会力丸が大型牛赤鮫を下して復活。17日父の日結の一番では大型新鋭古堅モータース☆若力が雷神天王に圧勝し、上位戦線への切符を手にした。24日北部(今帰仁)では浜川闘進王が得意の割り技で山岳びらを圧倒し、評価を固めた。
7月
7月は読谷大会のみ。闘天大名が元徳之島中量王者東昇誠龍輝を破る番狂わせを演出し、観客をあっといわせた。
8月
8月に入り、12日夏の全島は前述のとおり中量級で闘将ハヤテ、軽量級では闘将☆メカが王座獲得。両牛、元々は同牛舎に所属する僚友同士、めずらしい結果となった。
9月
9月は2大会。2日旧盆の結びの一番は古堅モータース☆若力と前王者ゆかり号の対戦だったが、勢い十分の若力が順当勝ち。9日石川では赤とんぼが魁闘勇士ジュニアを18分熱戦の末に下し価値ある白星。デビュー時の不安定さが解消され、大幅な成長を見せた。
10月
10月は3大会。7日に台風で順延となった敬老の日闘牛が行われ、前徳之島全島一チャレンジャー純心力成號が沖縄デビュー。白龍王(元丸石白龍)に7分余で快勝し、期待に違わぬ実力を見せた。20日から3週連続で祭り闘牛(入場無料)が開催され、合計約5000人の観客がつめかけた。集中的に開催されていることや、有料の闘牛がただで見られるとあって毎年関心は高まるばかり。闘牛人口のすそ野の広がりが期待できる。
今年打ち止めの大会は11月11日第98回秋の全島闘牛大会。中量級(闘将ハヤテ)、軽量級(闘将☆メカ)は現王座の初防衛。最強牛の全島一新チャンピオン誕生で全取組が終了した。
2013年はどんな戦いのドラマが生まれるのだろうか。毎年のことながら闘牛ファンはわくわくしながら新年闘牛を待っている。